GGROWTH INTELLIGENCE経営に、次の一手を。

vol.01

オンラインだけでは、売上の天井に当たる

マーケティング史 四人の視点

フィリップ・コトラー × ピーター・ドラッカー × ヤン・カールソン × ジョン・ワナメーカー

デジタル広告単価の高騰と情報過多により、オンライン施策だけでは顧客体験の差別化ができず「売上の天井」に当たる——。顧客行動の全体像がトラッキングできないこと、商品の良さと購買体験で競合と差別化できないこと。この2つの構造的限界を、どう越えるべきなのでしょうか。今宵の酒場には、マーケティングを体系化した理論家と、現場から歴史をつくった実務家をお招きしました。百年前から変わらない商売の真実と、いま起きている変化が交差します。

Cast

  • フィリップ・コトラー主流・体系化者マーケティング・マネジメント論を統合・体系化し世界に普及させた学者。4PやSTPの単独発明者ではなく、最大の編集者・教育者と位置づけられる。
  • ピーター・ドラッカー主流・経営思想家企業の目的を「顧客創造」に置き、マーケティングとイノベーションを企業の基本機能と位置づけた経営学者。
  • ヤン・カールソン補完・サービス経営者スカンジナビア航空(SAS)の再建を主導した経営者。顧客接点を「真実の瞬間」と捉え、現場従業員への権限委譲を推進した。
  • ジョン・ワナメーカー補完・小売経営者19世紀アメリカの百貨店経営者。固定価格・値札表示・返品保証・百貨店体験を普及させた小売流通史の先駆者。

進行

本日は体系化を担った理論家と、現場から歴史を作った実務家にお集まりいただきました。まずコトラーさん。

フィリップ・コトラー

私は4PやSTPの単独の発明者ではなく、先人たちの知見を体系として編み直した編集者に過ぎません。私が示した5A——認知・訴求・調査・行動・推奨——という購買モデルも、オンラインとオフラインの往還そのものです。試食での購入転換率が広告平均を大きく上回るという数字は、「調査」から「行動」への架け橋をリアル体験が担っている証拠でしょう。

ピーター・ドラッカー

体系化も大切だが、私が問いたいのはもっと手前です。企業の目的は顧客の創造であり、マーケティングは特定の部門の機能ではなく、企業全体の基本機能である。オンライン担当・オフライン担当と部署を分けている時点で、すでに顧客創造という目的を見失っている。

ヤン・カールソン

まさにその通り。私が航空会社の現場で学んだのは、顧客が従業員と接するわずかな瞬間——真実の瞬間——が、企業全体への信頼を決めるということです。百貨店の売り場でAIカメラが行動データを取りに行くのも、画面の外側にある真実の瞬間を捉え直そうとする試みでしょう。現場への権限委譲なくして、この瞬間は活きません。

ジョン・ワナメーカー

私は百貨店で値札と返品保証を発明し、店に来た客が安心して選べる体験を作った人間です。同時に、広告費の効果を測ることの難しさも誰より痛感してきました。オンラインの限界は今に始まった話ではない。人が何に動かされて買ったのか、正確には誰にも分からない——それは百年前から変わらない商売の真実です。

フィリップ・コトラー

だからこそ、データで補いつつ、現場の体験を疑わない姿勢が要る。

進行

体系、目的、接点、そして測定の限界——四つの視点が、同じ結論に収斂していますね。本日はありがとうございました。

結び

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本連載は、各氏の原著・公開されている理論解説に基づき、現代の経営課題に合わせて再構成した架空の対談コンテンツです。発言はGROWTH INTELLIGENCE編集部による創作を含みます。

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