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組織・人材戦略

会議が増え・プロセスが見えなくなった—テレワーク管理職が直面する2大課題と実践的対処法

2026.07.28GROWTH INTELLIGENCE 編集部

テレワーク環境で会議が増え、生産性が下がっていると感じていませんか。リモートワークでは物理的な距離の制約がなくなるため会議を設定しやすくなりますが、その結果として会議数が増加し、業務時間の多くが会議に占められてしまうケースが見られます。従来のオフィス環境では自然と調整されていたコミュニケーションの量や会議の必要性が、オンライン環境では再設計されていないことが原因です。こうした状況では、本来の業務に集中する時間が減少し、組織全体の生産性にも影響が及びます。そこで重要になるのが、会議の棚卸しと目的の再整理です。本稿は「テレワーク時代のタイムマネジメント」連載のvol.4として、特にテレワーク環境で管理職が直面する2大課題への具体的な対処法を、経営者・管理職の実践材料として整理します。

1|結論—テレワークのデメリットは「管理手法をテレワーク仕様に変革する」ことで改善できる

テレワークにより「会議の頻度・負荷増大」と「プロセスを追えない/サボっているか分からない」という2つの課題が多くの管理職を悩ませています。しかしこれらは、テレワーク固有のデメリットとして諦めるべき課題ではありません。「参加できるから、する」ではなく「参加しなくても目的から影響のない会議には出ない」という会議の棚卸し、ドラッカーの「時間をまとめる」という原則による会議の集中配置、プロセス監視から成果物の細分化管理へのアウトプット思考への転換—これらは、テレワーク環境を逆手にとって生産性をオフィス勤務以上に高めるための実践知見です。

2|テレワークが管理職にもたらす2大課題—オフィスで「自然に解決されていた」ことが機能しなくなる

3|課題①への対処—会議管理の4つの実践アプローチ

アプローチ① 会議の棚卸し—「参加できる」と「参加すべき」は別

現在参加しているすべての会議を一覧化し、「自身の個人目的を充足するか」と「組織の目的に自身が貢献しているか」という2軸で評価します。たとえ会議の内容把握という個人目的を充足していても、そこで自身が何も発言・意見を求められていないなら組織として貢献はゼロです。ドラッカーは「成果の無い時間を削る」と提言しています。録音機能(Zoom・Google Meet等のWeb会議ツールには標準搭載)を活用して後日録音を聴くか、議事録確認で代替できる会議への「ライブ参加」は積極的に削減することを推奨します。

アプローチ② アジェンダの事前設定—「与太話」を防ぎ会議の生産性を上げる

アジェンダが明確化されていない会議は話の方向が拡散しやすく、時間配分のペースが乱れて予定時刻超過の「時間の浪費の温床」になります。会議主催者(特に管理者)がアジェンダを事前に参加メンバーに投げておくことで、各メンバーが事前に発言内容を考える時間が生まれ、会議の生産性が飛躍的に向上します。

アプローチ③ 予定時刻超過時の途中退出—Web会議の「退出しやすさ」を活用する

リアルのFace to Faceの会議体では予定時間を過ぎても退出しにくいのが常でした。Web会議では途中退出の心理的ハードルが大幅に低下します。「別のミーティングがあるので失礼します」という言い方が受け入れられやすい環境です。実践的な設計として「重要な論点は会議の前半に集中させる」ことを主催者が意識します。重要度の低い議題で予定時刻を超過している場合は途中退席し、議事録や他参加者からの情報共有で代替することが、時間浪費の防止につながります。

アプローチ④ 会議の集中配置—ドラッカーの「時間をまとめる」という原則

管理職になると仕事の相当部分が会議で占められますが、それを一日の中で「分散させるか・集中させるか」という設計の問題があります。
「時間をまとめる」の実践設計 例えば午前9時〜12時を会議集中枠・午後13時〜17時を単独作業枠と設計すれば、4時間のまとまった作業時間が毎日確保できます。テレワークでは移動時間ゼロという利点を活かして、会議と作業の時間帯を明確に分ける設計が、従来のオフィス勤務よりも実現しやすいです。

4|課題②への対処—プロセス管理の3つのアプローチ

アプローチ① 成果物チェックサイクルの短縮化—「進捗確認の頻度を増やす」

テレワーク環境では隣で社員の画面を覗くという自然な進捗確認ができなくなります。この代替として「正式な進捗確認会議の頻度を増やす」というアプローチが有効です。
実践例(進捗確認サイクルの改善) 従来:2日に1回の正式なインターナル進捗確認会議 改善後:1日2回・各30分の進捗確認Web会議 → 1日の会議時間は従来より増えない。テレワーク環境では会議設定の柔軟性が格段に向上しているため実現可能。 → 毎日●時と●時に30分だけ進捗確認のWeb会議を定期化することで、 不本意な修正作業・手戻りを大幅に削減できる。

アプローチ② アウトプット思考への転換—タスクの細分化と成果物単位の管理

テレワーク環境はプロセス管理よりもアウトプット思考を求めます。管理職側がこれまで以上に細かくタスクを整理・分解し、成果物単位でのToDoリストをテキスト化・共有する工夫が求められます。「ざっくりとした指示を出して作業途中で都度フィードバックするスタイル」はオフィス勤務では機能していましたが、テレワーク環境では成果物の細分化と明示的な確認サイクルの設計への移行が必要です。進捗確認のインターナルミーティング後には、次の成果物ゴールをテキストで明確に共有することが実践の基本です。

アプローチ③ 画面共有による遠隔監視—新入社員・特殊ケースへの対処

社員が実際にサボっているケース、または新入社員のように作業効率が著しく低い状態にある場合には、より直接的なアプローチとして「画面共有による遠隔監視」があります。ZoomやGoogle Meet等のWeb会議ツールで社員側が画面共有した状態・音声オフのまま放置することで、管理者側は社員が今何をしているかを把握できます。オフィス勤務の時に遠目で社員の画面を見るという管理よりも、画面共有による監視の精度は格段に高いです。何か動作が止まっていたり同じ作業を繰り返しているようであれば、音声をオンにしてアドバイスを行います。
画面共有監視の適用に関する注意点 やりすぎると「囚人監視」のような印象を与えます。期間を限定して適用すること(新入社員の初期3か月・特定の問題行動が生じた時期等)が原則です。恒常的な監視文化は心理的安全性を損ない、長期的な人材定着・創造性発揮の妨げになります。「期間限定の支援手段」という位置づけで、段階的に自律を促す設計と組み合わせることが重要です。

5|2大課題への対処の整理—テレワーク管理職の実践チェックリスト

【会議管理】 ✓ 参加している会議を棚卸しし「自身の貢献がない会議」を録音・議事録対応に切り替えている ✓ 主催する会議にアジェンダを事前設定して参加メンバーに共有している ✓ 予定時刻超過の会議から途中退出する習慣を持ち、重要論点を前半に集中させている ✓ 会議を特定の時間帯(例:午前中)に集中させてまとまった作業時間を確保している

【プロセス管理】 ✓ 成果物チェックの頻度を増やし(例:1日2回30分の定期Web会議)進捗の見える化を実現している ✓ タスクを細分化し次の成果物ゴールをテキストで明確に共有するアウトプット思考の管理に転換している ✓ 必要な場合(新入社員・特定ケース)に画面共有による期間限定の遠隔モニタリングを活用している

6|経営判断チェックリスト—テレワーク管理の設計を今見直すべき企業の条件

✓ テレワーク導入後、管理職から「会議が増えて本来業務の時間が取れない」という声が上がっている ✓ 一日の会議が分散して配置されており、まとまった思考・創造的作業の時間が確保できていない ✓ 会議のアジェンダが事前設定されておらず、会議が予定時間を超過することが常態化している ✓ テレワーク環境でも「プロセスを見ながら管理する」というオフィス型の管理スタイルを維持しようとして機能不全になっている ✓ タスクが大まかな単位でしか設定されておらず、進捗の確認・評価ができる粒度になっていない ✓ 新入社員・作業効率が低いメンバーへのテレワーク環境でのフォローアップ体制が整っていない

テレワーク環境がもたらす課題は「テレワーク≒悪」という結論ではなく、「管理手法をテレワーク仕様に変革する機会」という認識への転換が経営者・管理職に求められます。会議管理とプロセス管理という2つの領域での実践的なアプローチを組み込むことで、テレワーク環境はオフィス勤務以上の生産性を生む「ニューノーマルな働き方」になります。

7|経営者への一言

テレワークの2大課題—会議過多とプロセス管理の困難—は管理手法を「テレワーク仕様」に変革することで改善できます。ドラッカーの「時間をまとめる」とアウトプット思考への転換が、テレワーク環境を生産性向上の好機に変える経営的な鍵です。

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