
動画完視聴率52.8%—触れる動画・EC最大の弱点「商品購入への繋がりづらさ」の解消
2026.08.04GROWTH INTELLIGENCE 編集部
1|結論—ECの最大の弱点「商品購入への繋がりづらさ」を、動画コマースが根本から解消する
ECは「店舗を持たないコスト削減・顧客の拡大・時間・場所の自由」というメリットを持つ反面、「購買体験が印象に残りにくい・特定商品へのたどり着きにくさ・ブランドイメージが伝わりにくい」という弱点があります。この弱点の本質は『商品購入への繋がりづらさ』にあります。インタラクティブ動画コマース(TIG commerce)はこの弱点を根本から解消します。通常の動画コマースでは最後まで離脱せずに視聴する割合が5%程といわれるところ、TIG commerceでは驚異の52.8%を記録—視聴者を引き込み・商品との接触を生み・購買まで一気通貫で完結する新しいEC戦略です。YouTube・Instagram・Twitter等の動画プラットフォームの定着とコロナ禍での動画消費の急増により、動画は生活の中で圧倒的な存在感を持つようになりました。5G通信の普及とともに動画コマースの優位性はさらに高まります。本稿では、動画コマースの仕組み・TIG commerceの3つの特徴・セブン&アイとニトリの実践事例を経営者・EC担当者の戦略材料として整理します。
2|ECの弱点の構造—「繋がりづらさ」がCVRを下げる
ECの「繋がりづらさ」が生む購買機会の損失: 消費者が動画・SNS・広告で商品を見て「いいな」と思っても、①別サイトで商品を検索→②商品ページへ遷移→③購入判断という「摩擦のある導線」があるために、「見た瞬間の購買意欲(衝動)」が冷めてしまいます。この一連の摩擦を取り除くことがECのCVR(購買転換率)向上の核心的な課題です。
3|TIG commerceとは—「触れる動画」の3つの特徴
TIG commerce(ティグ コマース)は株式会社エスキュービズムとパロニム株式会社が提供するインタラクティブ動画コマースです。パロニム社が開発した次世代インタラクティブ動画技術「TIG(ティグ)」を活用し、動画の任意の部分にコマース機能を付与することで、視聴者がフリック(またはクリック)するだけで商品をストックし、そのまま決済まで完結できます。2018年3月のローンチ以降、アパレル・小売・自治体等に導入されています。▶ 特徴① 幅広い業種への応用力—商品販促に留まらない汎用性 TIG commerceは商品の物販だけでなく、無形のサービスにも対応できる汎用性を持ちます。例えば美容室では美容師のカットテクニックを動画にして指名予約につなげるという使い方が可能です。動画の内容とTIGに付与するURLを工夫することで、業種に応じた用途で活用できます。
TIG commerceが活用できる主な業種・用途: ・アパレル・ファッション:コーディネート動画から直接購入 ・小売・日用品:実演動画から商品ページへシームレスに遷移 ・食品・飲料:レシピ動画から食材を一括購入 ・美容・サロン:スタイリスト紹介動画から指名予約 ・旅行・観光:観光PR動画から旅行プランの予約 ・自治体:地域PRから特産品の購入や観光サイトへの誘導
▶ 特徴② 「商品検索フェーズ」の排除—購買摩擦をゼロにするデザイン TIG commerceの最大の差別化ポイントは「動画視聴から決済までの間に商品検索フェーズが存在しない」ことです。
▶ 特徴③ 手軽な導入とデータ活用—4ステップで動画公開・PDCAを支援 高度な技術を用いているにもかかわらず、動画公開までの流れはシンプルな4ステップで完了します。また、TIG commerceではアクセス解析も可能で、再生回数・商品ごとのタップ回数など様々な角度からのレポートが提供されます。このデータをもとにPDCAサイクルを回すことで、アプローチ方法を継続的に改善できます。
動画公開までの4ステップ: ① 動画を準備する(既存の動画素材でも可) ② 動画の任意の箇所にTIG(コマース機能)を設定する ③ TIGに商品URL・クーポン等のリンクを付与する ④ 動画を公開する
TIGの数値が示す「動画完視聴率」の驚異的な改善: 通常の動画コマースでは最後まで離脱せずに視聴する割合が「5%程度」といわれています。TIG commerceを用いた動画では「52.8%」を記録(エスキュービズム実験)。この差は「TIGを探す楽しみ」と「クーポン等の視聴特典」という二重のエンゲージメント要素によるものです。視聴者を動画に引き留めることが、購買機会の最大化につながります。
4|2社の導入事例—セブン&アイとニトリの実践戦略
▶ 事例① セブン&アイ・ホールディングス—「再生しても購入につながらない」課題を解消 2018年8月、セブン&アイ・ホールディングスはグループ横断ECサイト「オムニ7」においてベビー用品・アウトドアワゴン・ビールサーバーの実演販売動画でTIG commerceを導入しました。
▶ 事例② ニトリ—リアル店舗との連携でオンラインとオフラインを統合 2020年5月、ニトリホールディングスは自社メディア「ウチソト(お家でも外でも心地よく暮らしたい)」においてTIG commerceを採用した動画を公開しました。気になった商品をフリックしてストックし、タップするとニトリネット(ECサイト)から直接購入できます。特に注目すべきは「リアル店舗で配布しているリーフレット『ウチソトPASSPORT』にTIG commerce動画へアクセスできるQRコードを掲載した」という点です。リアル店舗へ来店した顧客を動画コマースへ誘導し、その後ECサイトでの購入につなげるという「オフライン→オンライン→購買」という新しい導線を設計しました。
ニトリの事例が示す「OMO(Online Merges with Offline)」の実践: TIG commerceをリアル店舗のリーフレットと連動させることで、来店客が帰宅後・移動中にも購買機会を持ち続けられる設計が実現されています。「店舗に来た顧客を帰宅後もECサイトへ誘導する」という導線は、リアル店舗とECの相互送客を可能にする経営的な設計です。
5|経営判断チェックリスト—動画コマースを今検討すべき企業の条件
✓ ECサイトのアクセスはあるが購買転換率(CVR)が低く、「見るだけで買わない」状態が続いている ✓ SNS・動画広告で商品PRを行っているが、動画視聴から購買への導線が途切れており機会損失が発生している ✓ ECと実店舗を両方持っており、リアル来店客をECへ誘導する仕組みが整備されていない ✓ 動画広告の完視聴率が低く、最後まで視聴されないまま訴求が完結していない ✓ 動画を活用したデジタルマーケティングを検討しているが、具体的な購買への繋げ方が設計できていない ✓ 5G普及・動画消費の増加というトレンドを活用して、EC売上を次のステージに引き上げる施策を探している「動画を見せること」と「購買につなげること」の間に存在する摩擦を取り除くことが、動画コマースの本質的な価値です。TIG commerceに代表されるインタラクティブ動画コマースは、この摩擦を「視聴者が動画を楽しみながらTIGを探す体験」に変換することで、完視聴率の飛躍的な向上と購買への自然な誘導を同時に実現します。動画消費がさらに加速する時代において、「動画は見るものから触れるものへ」という転換点を先取りすることが、EC売上の次の成長機会です。