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デジタルマーケティングで売上を伸ばす企業が最初にやること— BtoBカスタマージャーニーの設計がデジタル投資を成果に変える唯一の前提条件

2026.08.24GROWTH INTELLIGENCE 編集部

デジタルマーケティングを始めたいのに、「まず何から設計すべきか」が曖昧なまま施策やシステム導入を進めていませんか。BtoB企業でもデジタル活用の重要性は急速に高まっていますが、成功企業の事例を表面的にまねてツールを入れるだけでは、成果につながらないケースが少なくありません。本記事が示す課題の本質は、システム導入そのものを目的化してしまい、顧客が認知から比較検討、購買に至るまでの全体像を把握できていない点にあります。こうした状況を整理するために有効なのがカスタマージャーニーです。ゴール設定と具体的なペルソナ設計を起点に、顧客がどのチャネルで情報に接触し、どのように意思決定するかを可視化することで、現状施策の課題や打ち手が見えやすくなります。本稿ではBtoBビジネス特有のカスタマージャーニーの設計方法と、それをデジタルマーケティング施策に実装するまでの手順を整理します。

1|結論—システムを入れる前に「顧客の旅」を描けているか

デジタルマーケティングで成果を出せない企業の多くは、「ツールやシステムを導入することがデジタルマーケティングだ」という誤解から始めています。成功している企業が最初にやっていること—それはカスタマージャーニーの設計です。カスタマージャーニーとは「顧客が自社サービスを認知してから購買するまでの行動を可視化した地図」です。この地図なしにツールを入れると、何を測定すべきか・何に投資すべきかが定まらず、デジタルマーケティング投資がコストにしかならない典型的な失敗に陥ります。

インターネットの普及・スマートフォンの一般化・コロナ禍によるオンライン化の加速を背景に、BtoBビジネスにおけるデジタルマーケティングの重要性は急激に高まっています。デジタルマーケティングを積極的に実践しているBtoB企業は収益性が向上するという事実が、この流れを加速させています。しかし「何から始めればよいかわからない」という企業が多いのも事実です。成功事例を見て同じシステムを導入した結果、まったく成果が出なかったという企業も存在します。失敗の根本原因は「システムを入れる前の設計」が抜けていることにあります。

2|Webマーケティングからデジタルマーケティングへ—何が変わったか

カスタマージャーニーの重要性を理解するには、Webマーケティングとデジタルマーケティングの違いを把握しておくことが先決です。担当者がサイト分析ツールを見て施策を考える 顧客の行動データをもとに一人ひとりのニーズに合った情報提供を行う。この進化はインターネットの普及によって必然的に起きました。1人1台スマートフォンを持つことが当たり前になり、潜在顧客がWeb以外の多様なチャネルで情報収集するようになったため、Webサイトだけを最適化しても潜在顧客との接点を確保できなくなっています。デジタルマーケティングへの移行は「やるかやらないか」ではなく「いつやるか」の問いになっています。
デジタルマーケティングが旧来のWebマーケティングと本質的に異なるのは「顧客の行動を横断的に追える範囲」の違いにあります。この横断的な追跡を設計する道具がカスタマージャーニーです。カスタマージャーニーなしにデジタルマーケティングの全体像を描くことはできません。

3|カスタマージャーニーとは何か—定義・構成要素・描くメリット

カスタマージャーニーとは、顧客が商品・サービスを認知してから実際に購入するまでの行動プロセスを「旅」に例えて可視化するフレームワークです。それを図式化したものをカスタマージャーニーマップと呼びます。カスタマージャーニーを描くことで、顧客がどのようなプロセスで認知・行動・購買を行っているかを具体化できます。

▶ カスタマージャーニーを描く前に定めるべき2つの前提 カスタマージャーニーを描くにあたって、まず「ゴール」と「ペルソナ」を明確にすることが必要です。

▶ カスタマージャーニーを描くことで得られる5つのメリット

4|BtoBカスタマージャーニーの固有設計—BtoCと何が違うのか

カスタマージャーニーの描き方はBtoCビジネスとBtoBビジネスで大きく異なります。特に異なるのがペルソナの対象と購買後の継続的取引の考え方です。この違いを理解せずにBtoC向けの設計をBtoBに流用すると、カスタマージャーニーが現実と乖離した形式的なものになります。

▶ BtoBペルソナ設定の2段階絞り込み BtoBのペルソナ設定は2つの段階で行います。まず「ターゲット企業のセグメント」を特定し、次に「そのセグメント内のキーパーソン」を絞り込みます。

BtoBにおけるペルソナとは、「自社サービスの顧客となりうる企業セグメント内で、実際にサービス導入に尽力するキーパーソン」です。このキーパーソンの行動・思考・情報収集方法を中心にカスタマージャーニーを描くことで、最も効果的な接点設計が可能になります。

▶ BtoBにおける購買後の継続的取引の重要性 BtoCビジネスが消費財を取り扱うことが多いのに対し、BtoBビジネスではシステムや継続的サービスを提供するケースが多くなります。そのため、カスタマージャーニーの設計は「購買で終わり」ではなく、「導入後の継続利用・更新・アップセル」まで含めた設計が必要です。購買後の顧客行動の把握がLTV(顧客生涯価値)の最大化に直結します。

5|デジタルマーケティング実装の2ステップ—描いたジャーニーを施策に変換する

カスタマージャーニーを描いただけでは売上は上がりません。それをデジタルマーケティング施策に変換するためのステップが必要です。カスタマージャーニーマップを起点に、デジタルとの接点を抽出し、収集できる情報と実施すべき施策を整理します。

STEP 1 デジタルが関与する顧客接点を抽出する

カスタマージャーニーを描いたら、顧客の各行動フェーズのうちデジタルとの接点がある箇所を特定します。顧客のアクション・利用チャネル・思考のどこにデジタルが関与しているかをマップ上に明示することで、デジタルマーケティングが機能すべき場所が見えます。例えば、顧客がサービスを認知する段階でWebサイトやSNSを経由する場合、その接点がデジタルマーケティングの起点になります。一方、認知から問い合わせまでが対面や電話中心の顧客であれば、そこへのデジタル投資は優先度が低くなります。このメリハリをカスタマージャーニーが提供します。

STEP 2 収集できる情報と実施可能な施策を接点ごとに整理する

デジタル接点を特定したら、各接点で「どんな情報が取得できるか」と「どんなデジタルマーケティング施策が有効か」を整理します。この整理によって、どのデジタルチャネルに投資すべきか・何を計測すべきか・MAをどのフェーズで使うべきかが明確になります。カスタマージャーニーから導いた「顧客がどこにいるか」という情報が、デジタルマーケティング投資の配分根拠になります。

6|デジタルマーケティングでよくある失敗—カスタマージャーニーなしで始める3つのリスク

失敗① 「成功事例と同じシステムを導入したが効果が出ない」 他社の成功事例で使われたMAやSFAを同様に導入しても、自社のカスタマージャーニーとツールの機能が合っていなければ効果は出ません。ツールは手段であり、目的(顧客のどのフェーズで・何の課題を解決するか)が先です。「何のためにこのツールを使うか」が定義されていない導入は必ず失敗します。

失敗② 「ペルソナを設定したが粒度が粗く、施策に活かせない」 「30代・男性・IT企業勤務」というペルソナは施策設計に使えません。どのチャネルで情報収集するか・どんな課題を持つか・意思決定にどれだけの時間がかかるか—この粒度まで落として初めて、どこに・どんなコンテンツを・どのタイミングで届けるかが設計できます。BtoBでは企業セグメントとキーパーソンの2段階設定が必須です。

失敗③ 「購買段階までしかジャーニーを設計しない」 BtoBビジネスは継続利用・更新・アップセルが収益の大部分を占めます。購買後の顧客行動を設計しないカスタマージャーニーは、受注後のLTV最大化機会を丸ごと捨てていることになります。ジャーニーは「成約」で終わりではなく「継続的関係」を含めて設計することが正解です。

7|経営判断チェックリスト—カスタマージャーニー設計を今始めるべき企業の条件

✓ デジタルマーケティングに投資しているが、成果が出ているか評価できていない ✓ MAやSFAを導入しているが、何を計測して何を改善すればいいかわからない ✓ 営業部門とマーケティング部門が連携できておらず、施策の方向性がばらばらになっている ✓ 顧客がどのように自社サービスを認知して購買に至るのかのプロセスを把握していない ✓ コロナ禍以降、オンライン接点が増えたにもかかわらずデジタル施策の全体設計ができていない ✓ 新規顧客獲得だけに注力しており、既存顧客の継続・アップセルへのアプローチが設計されていない

カスタマージャーニーの設計はデジタルマーケティングの「地図」です。地図なしに施策を打つことは、どこに向かっているかわからないまま走ることと同じです。ゴールとペルソナを定め、顧客の旅を可視化することが、すべてのデジタルマーケティング投資を成果につなげる唯一の前提条件です。

8|経営者への一言

デジタルマーケティングで成果を出せない企業と出せる企業の差は、「システムを入れたかどうか」ではなく「顧客の旅を設計してからシステムを入れたかどうか」です。カスタマージャーニーを描くことは、デジタル投資を正しい場所に正しい順序で打つための経営判断の地図を作ることです。

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